
SEGGER 製品構成・ライセンス設計ガイド
SEGGER 製品は「本体を買えば一式が揃う」構造ではありません。ハードウェア/付属ライセンス/別売ライセンス/IDE/SDK・DSK/組込みランタイムが、それぞれ独立した体系です。6層に分解して整理します。
① J-Link PRO / Ultra を買っても J-Link SDK は付いてきません(別売の会社単位ライセンス)。
② Embedded Studio 通常版に J-Link は付属しません(ただし Embedded Studio PRO には J-Link PLUS と 19-Pin Cortex-M Adapter が同梱)。
③ embOS・emWin 等は J-Link を買っても使えません(製品組込みには別途ランタイムライセンスが必要)。
まず、よくある4つの誤解を正します
SEGGER 製品は「ハードウェア」「付属ライセンス」「別売ライセンス」「IDE」「開発キット」「組込みランタイム」が独立した体系になっており、 これを混同したまま発注すると、届いてから使えないことが判明します。実際の問い合わせで最も多い誤解が次の4つです。
SEGGER 製品を6層に分けて考える
SEGGER のポートフォリオは広く、製品名だけでは何が何に含まれるのか判別できません。次の6層に分解すると、 「何を買えば何が使えるのか」「何が別売なのか」が一意に決まります。
唯一の例外が Embedded Studio PRO で、これは第4層+第6層+第1層(J-Link PLUS)+19-Pin Cortex-M Adapter を束ねた包括パッケージです。
J-Link SDK と J-Link DSK — 用途は正反対です
名前が似ていますが、目的は正反対です。SDK は「J-Link を操作するアプリを作る」、 DSK は「J-Link が理解できるデバイスを増やす」ためのものです。独自SoC を独自の製造ツールで書き込む、といった場合は両方が必要になります。
- 自社製IDEへ J-Link 対応を組み込む
- 自社製フラッシュ書込みツールを作る
- 工場の検査アプリから J-Link を制御する
- 独自GUIから 接続→消去→書込み→Verify→Reset を実行する
- シリアル番号・鍵・証明書・校正値の書込み工程を統合する
- MES 連携・検査結果DB連携を行う
- IAR / Keil / Embedded Studio / VS Code から通常のデバッグを行う
- J-Link Commander を使う
- GDB Server を使う
- J-Flash を使う
- Ozone を使う
- SEGGER 既存ツールだけで運用が完結する
- 会社単位(Company-wide)ライセンス — 拠点数・ワークステーション数・J-Link台数の制限なし
- ライセンスサーバやドングルは不要(インストールする鍵はない)
- 初期ライセンスに 6ヶ月の無償アップデート/サポートを含む(更新契約は別途)
- J-Link ハードウェアは別途必要
- 新規MCUが J-Link のデバイスリストにない
- 独自SoC / FPGA内蔵CPU
- 特殊な接続・Reset・Unlock 手順が必要
- 外部Flashの接続ピンが標準構成と異なる
- 非メモリマップSPI Flash / NAND Flash / I2C EEPROM / 独自Flashコントローラ
- プレシリコン段階でデバッグ環境を用意したい
- Device XML
- J-Link Script File
- SEGGER Flash Loader(SFL)
- Windows向けインストーラ
- 顧客配布用 Device Support Package
- J-Link Commander
- J-Flash
- Ozone
- Embedded Studio
- IAR / Keil 等の J-Link 対応IDE
- Flasher シリーズ
- 会社単位(Company-wide)ライセンス
- 6ヶ月の無償アップデート/サポート(2h)を含む
- J-Link / J-Trace 双方で利用可能
- 作成した Flash Loader は上記の全ツールから共通利用できる
用途別 推奨構成(A〜L)
実際の引き合いで頻出する12パターンを、ハードウェア+ソフトウェア+採用条件の形で整理しました。 自社の状況に最も近いものを起点に、必要に応じてアダプタ・アイソレータを足してください。
組込みミドルウェアのライセンス設計
SEGGER のRTOS/ミドルウェアは、多くの場合そのライセンスは次の性質を持ちます。
embOS Cortex-M / IAR版 → embOS Cortex-M / Embedded Studio版。
ツールチェーン移行を検討している場合は、必ず事前にご相談ください。見積前チェックリスト
次の項目が埋まっていれば、モデル・ライセンス・アダプタ・開発キットの必要型番を一度で確定できます。 不明な項目があっても構いません。分かる範囲でお知らせいただければ、当社で不足分を確認しながら構成を組み立てます。
- 対象MCU / SoC の正式型式
- CPUアーキテクチャ
- JTAG / SWD / cJTAG / SWO / ETM 等の接続方式
- 内蔵Flash・QSPI・NAND・eMMC・EEPROM の構成
- デバッグコネクタの形状・ピン数・ピッチ
- 使用IDE / コンパイラ
- 開発者数
- 拠点数
- 子会社・委託会社・海外拠点の利用有無
- 商用開発か評価か
- Ozone の要否
- 無制限フラッシュBP の要否
- J-Flash の要否
- モニタモードの要否
- リモート接続の要否
- CI / Build Server での利用
- 命令トレースの要否
- 自社アプリから J-Link を直接制御するか(→ SDK)
- 未対応デバイス・特殊Flashがあるか(→ DSK)
- 少量生産か量産か
- PCレス書込みが必要か
- コネクタレス基板か(→ ニードル / 治具設計)
- ライセンスを J-Link に格納するか(J-Link-locked)
- Floating / Site / Company-wide の要否
- Support and Update Agreement の期間
- 製品名・型式変更時のライセンス影響
- コンパイラ変更時のライセンス影響
よくある質問
J-Link PRO を買えば J-Link SDK は付いてきますか?
Embedded Studio を買えば J-Link も付いてきますか?
SDK と DSK はどう違いますか?
J-Trace PRO を買ったら、別に J-Link も必要ですか?
Flasher と「J-Link + J-Flash」はどちらを選ぶべきですか?
embOS や emWin は J-Link を買えば使えますか?
同じCPUなら、コンパイラを変えてもライセンスはそのまま使えますか?
CI サーバで Embedded Studio を自動実行したいのですが。
関連製品
構成のご相談・お見積り
SEGGER 製品の構成・ライセンス選定を承ります。次の4点をお知らせいただければ、必要な型番一式を確定してご提案します。
- 対象MCU / SoC の型式
- デバッグコネクタの形状(回路図の該当部)
- 使用IDE / コンパイラ
- 台数と用途(開発 / 量産 / CI / 自社アプリ統合)
