診断・計測校正の用語
診断・計測・校正は担当部署が分かれがちですが、使うデータベースとバスは共通であることが多く、用語の取り違えが手戻りを生みます。
この分野の用語(13語)
用語解説
UDS Unified Diagnostic Services・ISO 14229
車載 ECU に対する診断通信の共通サービス体系。故障コードの読み出し、パラメータの読み書き、ルーチン実行、ファームウェア書き換えまでを統一されたサービス ID で表現します。
SID / NRC Service Identifier / Negative Response Code
SID はサービスの識別子(例: 22h データ読み出し、2Eh 書き込み、31h ルーチン制御)。要求を拒否する場合、ECU は 7Fh と NRC を添えて理由を返します。
診断セッション Diagnostic Session
UDS の動作モード。デフォルトセッションでは限られたサービスしか使えず、拡張/プログラミングセッションへ遷移して初めて書き込みが可能になります。
セキュリティアクセス Security Access(27h)
危険な操作の前に行う認証。ECU が発行したシードに対して正しいキーを返した場合のみロックが解除されます。鍵アルゴリズムの管理と配布が実務上の論点になります。
ISO 15765-2 CAN-TP・ISO-TP
CAN 上で8バイトを超えるメッセージを分割転送するトランスポート層。単一フレーム・先頭フレーム・連続フレーム・フロー制御で構成され、ブロックサイズ(BS)と最小間隔(STmin)が転送時間を左右します。
DoIP Diagnostics over IP・ISO 13400
車載 Ethernet 上で診断を行う仕組み。UDS のサービス自体は CAN の場合と共通で、下位の運び方が変わります。大容量のファームウェア転送を大幅に短縮できます。
ODX / PDX ISO 22901
診断情報を記述する標準フォーマット。どの ECU にどのサービスがあり、どの DID がどんな意味を持つかを機械可読な形で持ちます。配布用にパッケージ化したものが PDX です。
関連: 車載ECU 診断・計測・校正
XCP / CCP Universal Measurement and Calibration Protocol
ECU 内部の変数を実行中に測定し、パラメータを書き換えるためのプロトコル。XCP は CAN・Ethernet・FlexRay など複数のバスに対応します。
DTC Diagnostic Trouble Code
故障コード。UDS では 19h で読み出します。J1939 では SPN と FMI の組で表現されます。
OBD On-Board Diagnostics
排ガス関連の法規診断。車種を問わず汎用スキャンツールで読める必要があります。乗用車系は SAE J1979、商用車系は J1939 系の規定が適用されます。
関連: 車載ECU 診断・計測・校正
MDF Measurement Data Format・ASAM MDF
計測データの標準フォーマット。長時間・多チャネルの記録データを扱うために設計されており、解析ツール間の受け渡しに使われます。
関連: トレース/ランタイム解析
フラッシュリプログラミング Reprogramming
UDS の 34h(ダウンロード要求)・36h(データ転送)・37h(転送終了)を用いたECU のファームウェア書き換え。転送時間は下位の運び方(CAN か DoIP か)で大きく変わります。
ほかの分野の用語集
- 機能安全の用語(12語)
- 車載ネットワークの用語(16語)
- CANopen の用語(15語)
- デバッグ・トレース・書込みの用語(13語)
- RTOS・ミドルウェアの用語(12語)
用語の解釈でお困りのとき
規格の版によって要求が変わる用語、OEM 固有の解釈が入る用語もあります。適用予定の規格版とご要件をお知らせいただければ、具体的な解釈をご説明します。
