選定の前に決めること
機能安全向けの RTOS は、後から差し替えるほど費用と工数がかかります。比較の前に、次の4点を決めておくと候補が絞れます。
- 適用する規格と水準(ISO 26262 ASIL、IEC 61508 SIL、IEC 62304 のクラス、EN 50128 SIL)
- 対象の CPU・コンパイラで、認証済みの構成が用意されているか
- 認証に使う成果物(安全マニュアル、設計・検証の文書一式)をどこまでメーカーに頼るか
- FreeRTOS など既存のコードを流用するか
比較表
メーカーの公開情報(2026年10月に確認)に基づきます。認証の対象(CPU・コンパイラ・バージョン)は製品ごとに異なるため、採用前に必ず個別に確認してください。
| 比較項目 | SCIOPTA Safety Kernel | SAFERTOS | embOS-Safe | FreeRTOS(参考) |
|---|---|---|---|---|
| 第三者認証 | TÜV SÜD(Safety Kernel) | TÜV SÜD による事前認証 | TÜV SÜD | なし |
| 主な規格と水準 | IEC 61508 SIL 3/EN 50128 SIL 3・4/ISO 26262 ASIL D | IEC 61508-3 SIL 3/ISO 26262-6 ASIL D。IEC 62304、DO-178C、FDA 510(k)、EN 50716 に適合 | IEC 61508 SIL 3/IEC 62304 Class C/ISO 26262 ASIL D | — |
| 認証の対象 | 一部の CPU ファミリ(対象は要確認) | SAFERTOS 本体(セキュリティ拡張 ESM は ISO 21434 に沿った開発で、事前認証の対象外) | embOS-Classic-Safe/embOS-Ultra-Safe | — |
| 安全関連の成果物 | 安全証明書・認証報告書・安全マニュアル | Design Assurance Pack(産業)/Design History File(医療) | Safety Manual を含む認証キット(6 か月の更新・サポート付き) | — |
| 設計の特徴 | ダイレクト・メッセージパッシング。標準版と同じ API。TrustZone ハイパーバイザ Protektor・メモリ分離 SMMS を組み合わせ可能 | FreeRTOS の機能モデルを基に、HAZOP と IEC 61508-3 SIL 3 のライフサイクルで再設計した別カーネル | SEGGER の embOS を基にした安全版。Embedded Studio・J-Link・SystemView と同じメーカーで揃う | MIT ライセンスの汎用 RTOS。40 以上のアーキテクチャに対応 |
| FreeRTOS からの移行 | 設計の見直しが必要(API が異なる) | 移行手順書を無償提供。FreeRTOS で試作し、正式開発で SAFERTOS へ | 設計の見直しが必要(API が異なる) | —(認証が必要になった時点で SAFERTOS 等へ) |
用途別の選び方
どれが優れているかではなく、要件との相性で選びます。代表的な例です。
- FreeRTOS で試作済み、量産で安全認証が必要 → SAFERTOS:FreeRTOS と同じ機能モデルで、移行手順書が用意されています。
- 鉄道(EN 50128)の案件 → SCIOPTA Safety Kernel:比較した中で EN 50128(SIL 3・4)の認証を持つのは SCIOPTA です。
- 医療機器(IEC 62304) → SAFERTOS for Medical/embOS-Safe:SAFERTOS は Design History File、embOS-Safe は IEC 62304 Class C の認証があります。
- 開発ツールを SEGGER で統一したい → embOS-Safe:Embedded Studio・J-Link・SystemView と同じメーカーで、ツールとの連携を一社で確認できます。
- 安全機能と Linux 等を同じ SoC で分離したい → SCIOPTA Protektor:Arm TrustZone を使うハイパーバイザで、IEC 61508 SIL3・ISO 26262 ASIL D などの TÜV 認証があります。
確認が必要な点
認証は「RTOS の製品名」ではなく「対象 CPU・コンパイラ・バージョンの組み合わせ」に対して取得されています。採用する構成が認証の範囲に入っているかを、見積もりの段階で確認します。対象の MCU・コンパイラ・適用規格をお知らせいただければ、当社がメーカーに確認してご回答します。
FreeRTOS は安全認証を取得していません。安全認証が必要な製品では、SAFERTOS など認証済みの RTOS を選びます。
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対象の MCU・コンパイラ・適用規格と水準をお知らせください。認証の範囲を確認したうえで、構成とお見積もりをご提案します。
